
こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。
関税の調査が入ると連絡があった場合、自分だけで対応するのは不安ですよね。
顧問税理士に立ち会って欲しいと考える人も多いと思います。
そこで、この記事では関税の調査が入った場合に税理士に立ち会ってもらえるのかどうか解説します。
結論|税理士に立ち会ってもらうことはできない
税理士は関税についての税務代理はできないので関税の調査に立ち会うことはできません。
しかし、すべて一人で対応しなければならないわけではありません。
原則として専門機関への依頼が必要
もしも税関調査の立ち合いを希望する場合は、原則として通関業者などの専門機関への依頼が必要です。
輸入申告を通関業者に依頼していた場合、申告内容(関税分類や申告価格など)の正当性については手続きを行った通関業者に連絡し、税関調査のサポートや立ち会いを依頼するのが最も一般的で確実です。
どこにも依頼をすることなく自社のみで対応することも可能ですが、調査への対応は慣れないことが多いと思いますので、専門家に依頼することも検討しましょう。
弁護士へ依頼する場合もある
通関業者では対応しきれない深刻な法的トラブル(訴訟など)に発展した場合は弁護士への相談も検討しましょう。
税理士が調査に同席できるケース
税関の調査では、関税等だけではなく輸入消費税の申告漏れがないかどうかも同時に調査されます。
また、輸入に関わる原価の計算や仕入計上のタイミングなどは法人税や所得税・消費税にも関係するので、関税の代理人として立ち会うことはできませんが、経理処理や税務申告の助言者としては調査に同席することができます。
同席以外に税理士ができること
調査によって会計の修正や税務申告のやり直しが発生した場合には税理士に対応をお願いできます。
【1】調査結果を税務の観点から整理
もしも調査により関税等の追加徴収や還付が発生した場合は、それを会計データに反映させることが必要です。
その際は、
- 過年度の関税等の調査結果が今年確定したが、追加徴収をされたり還付されたりした関税等はいつの事業年度の会計に反映させるべきなのか
- 棚卸資産や固定資産の計上額に変更はあるのか
- 修正申告は必要なのか
- 更正の請求をするべきなのか
などの検討が必要となります。
本記事では詳細な検討事項や手順などは割愛していますが、事業者が単独で進めるには難易度が高い事項が多岐に渡ります。
修正申告や更正の請求は税務申告にあたりますので、専門家である税理士に依頼をすることをおすすめします。
【2】消費税の納税額に変更はあるのか確認
税関調査で過年度分の申告漏れが指摘され、追加で関税等を納付した場合、その追加分は消費税の申告において仕入税額控除(支払った消費税を、預かった消費税から差し引くこと )の対象となるため、その結果、過年度分の消費税の納税額が減少するケースがあります。
反対に、調査により関税等の納め過ぎが分かった場合は還付されます。その場合は上記のケースとは逆に、「仕入れ税額控除が多すぎた」ということになり、会計データを適切に修正すると、過年度分の消費税の納税額が増加します。

実際には、支払いをしたものが関税なのか、輸入消費税なのか、加算税なのかによって税務的な取り扱いは異なりますので税理士への相談をおすすめします。
ただし、消費税の納税額の再計算が必要ない事業者も存在します。
- 免税事業者
- 簡易課税を選択している課税事業者
- インボイス制度の2割特例(令和8年10月1日から順次廃止)を選択した場合
まずひとつめですが、免税事業者は消費税の申告義務がありません。
次に、簡易課税を選択している課税事業者については仕入税額を計算せず、売上にかかる消費税に業種ごとの「みなし仕入率」をかけて仕入税額を算出しますので、関税等の追加徴収や還付があっても消費税の税額には影響を与えません。
最後にインボイスの2割特例を選択した場合についても、売上にかかる消費税を元に消費税の納税額を計算するため、関税等の追加徴収や還付があっても消費税の税額には影響を与えません。(ただし、2割特例は令和8年10月より廃止されます)
【3】修正申告や更正の請求の必要有無を確認
関税調査により、関税等を追加で支払いしたり、還付されたりした場合は、申告する税金が増える「修正申告」が必要になったり、税金が減る(還付される)「更正の請求」という手続きが可能になったりします。
しかし、この再申告については、
- 影響を与える税目は何なのか?(所得税・法人税・消費税)
- 影響があるのは過年度と今期のどちらなのか?
- 過年度に影響がある場合、棚卸資産や固定資産に関連するものなのか?
- 修正申告なのか?更正の請求なのか?
などによって判断が異なります。
【4】ペナルティ(加算税等)の適切な経理処理
税関の調査の結果、加算税などのペナルティが課された場合、ペナルティとして課された加算税等などは、所得税法・法人税法上、必要経費にすることはできませんので、誤って経費として認識しないように注意しましょう。
まとめ
- 税理士は関税の代理人にはなれない
関税の調査対応は、原則として手続きを行った通関業者、深刻なトラブルの場合は弁護士に依頼する必要があります。 - 消費税・法人税などの助言者としてなら同席可能
税理士は関税の代理人として立ち会うことはできませんが、関税と同時に調査される輸入消費税や、輸入に関わる仕入計上のタイミングで影響を受ける法人税や所得税については助言することができます。 - 調査後の経理処理や申告は税理士に依頼可能
税関調査によって追加の税金やペナルティが発生した場合、追加で払った輸入消費税の処理 や、ペナルティ(加算税など)の経理処理は税理士に任せることができます。
佐藤 修一
税理士法人Accompany 代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。






