病院代や薬代・健康診断費用は経費になる?個人事業主と法人の違い

佐藤修一

こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。

「病院代や薬代は、会社の経費になるのか?」

「従業員の健康診断にかかる費用は経費で落とせるのか?」

「個人事業主と法人で、経費になる基準に違いはあるの?」

日々の事業を営む中で、このような疑問をお持ちになったことはありませんか?

本記事では、医療費や健康診断費用が経費になるのかどうかについてわかりやすく解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら、ぜひ参考にしてください。

そもそも医療費とは

医療費には下記のようなものが該当します。

  • 医師にケガや病気を診断されたときの診察料
  • 治療に必要な医薬品の購入代
  • 医師等による診察や治療を受けるのに必要な義足や補聴器などの購入代

※人間ドックや健康診断などは、病気やケガの治療を目的としたものではないため、治療にかかる医療費とは扱いが異なります。

なお、「健診」と「検診」は似た言葉ですが、意味が異なります。

一般的に「健診」は、健康状態を確認し、病気の予防や生活習慣の改善などにつなげることを目的としたものです。一方、「検診」は、がん検診など、特定の病気を発見することを目的として行われます。

この記事では、主に会社が従業員に実施する健康診断について解説します。

医療費は経費になるのか

ケガの治療や医薬品の購入に関する医療費が経費になるのかどうかについて解説いたします。

結論から言うと、それらの出金は法人の場合も個人事業主の場合も経費として認められません。

もしこれらを経費に入れて申告をしてしまうと、税務調査が入った際に経費として認められず、追加で税金を支払うこととなります。

健康診断費用は要件を満たすことで経費になる

会社が従業員のために負担する健康診断費用は、下記の一定の要件を満たすことで福利厚生費として経費に入れることができます。

  1. 全従業員を対象としている
  2. 事業主が診療機関へ直接費用を支払う
  3. 費用の金額が高すぎず、一般的に妥当と思われる金額である

経費になるポイントは「全従業員に対して平等に実施されているかどうか」という点にあります。

個人事業主本人や、一人社長(役員のみの法人)の場合はどうなる?

  • 個人事業主の場合
    個人事業主ご自身の健康診断費用は、従業員の有無にかかわらず経費にできません。
    あくまで経費にできるのは、一定の要件を満たした「従業員の健康診断費用」のみとなります。
  • 一人社長の場合
    「全従業員を対象とする」という要件がないため迷いやすいですが、「役員全員を対象」としており、前述の要件(会社から医療機関へ直接支払う・妥当な金額である)を満たしていれば、法人の経費として認められるケースがあります。

医療費は確定申告にて医療費控除の適用を

ケガの治療などにかかった医療費は経費として認められませんが、これらは「医療費控除」の対象となります。

支払った医療費が年間で10万円を超える場合は、個人で確定申告を行うことで「医療費控除」を受けて個人の税負担を減らすことができます。

ただし、医療費すべてが医療費控除の対象になるわけではないのでご注意ください。

横にスクロールできます
対象有無内容
対象となる医療費ケガや病気の治療にかかった費用
対象とならない医療費美容目的の整形費用など

※年間の医療費が10万円未満の場合でも医療費控除の適用を受けられる場合がございます。下記の記事を参考になさってください。

まとめ

医療費や健康診断費用の扱いは、判断に迷いやすいポイントです。

個人の病気やケガの治療費と、会社が従業員の福利厚生として負担する健康診断費用とでは、税務上の扱いが異なります。

また、会社が負担する健康診断費用については、特定の従業員だけを対象とするのではなく、全従業員を対象としているかどうかなどが重要な判断材料となります。

経費にできるかどうかの最大の判断基準は「特定の人のみではなく、平等に実施されているか」です。

個人の治療費や、要件を満たさない健康診断費用を誤って経費として処理すると、税務調査で否認される可能性があります。

判断に迷った際は、ぜひお近くの税理士にご相談ください。

佐藤 修一

税理士法人Accompany 代表

(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。