資格取得の費用は経費になるのか?法人・個人事業主別に解説

佐藤修一

こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。

  • 資格を取った場合、これって経費になるの?
  • どこまでが経費にしていいの?

と疑問に思ったことはないですか?

法人・個人事業主別にそれぞれどういった場合に経費に計上できるのか解説しています。

法人が払った従業員の資格取得費は経費にになるのか?

資格取得の費用が経費になるかどうかの判断基準は、「その資格が現在の事業・業務に直接必要かどうか」です 。

条件を満たせば比較的認められやすいです。

経費にならない場合

「業務に関係がない」「不公平である」と判断される場合、会社の経費としては認められません。

経費として認められない(給与扱いになる)ケース

  • 業務に全く関係のない資格:業務に無関係で、個人の趣味・将来別の仕事をするための資格取得費用は経費にできません。
  • 特定の社員・役員だけを特別扱いする場合:一部の人のみが利用できる場合。経費にするには原則として、条件を満たす従業員全員が平等に利用できる制度である必要があります。 )
  • 社内に明確なルールがない場合 : その場の思いつきで費用を負担していると、税務調査が入った際に「ただのお小遣い(給与)ではないか」と疑われやすくなります。

経費にする場合の注意点

  • 条件を満たす全従業員が対象となること(特定の従業員への優遇はNG)
  • 明確な社内ルールを作成することが望ましいです。
    「どの資格が対象か」「費用はいくらまで出すか」「合格した時だけ払うのか」を明文化し、従業員に周知しておくことで、正当な会社の経費として認められやすくなります。

 税務署に、経費ではないと否認された場合は、その費用は会社から個人への『給与』または『役員賞与』として扱われます。

それにより、従業員や役員の個人の税金の負担が増えるだけでなく、会社としても法人税が増えたり、源泉徴収漏れの罰金の支払が必要になります。

個人事業主が資格取得する費用は経費になるのか?

条件を満たせば経費になります。判断基準は「その資格が現在の事業・業務に直接必要かどうか」ですが、法人よりルールが厳しくなります。 

経費になる場合

個人事業主の場合、「現在の事業の売上に直接つながるか」が厳しく問われます。

 個人事業主自身の資格であっても、以下の条件にあてはまるものは経費にできます。

  1. 現在の業務に直結する「民間資格」や「検定」
    【例】 Webデザイナーが、色彩検定やデザインツールの認定試験を受験する。 
  2. すでに持っている資格の「更新・維持・スキルアップ研修」 
    【例】 仕事で使っている民間資格の、毎年の更新料を支払う。

経費にならない場合

将来の新しいビジネスのためや、現在の事業と関係が薄い資格は経費にできません 。

また、自動車の運転免許や、税理士・弁護士・医師などの「個人の身分や一生の財産に属する資格(一身専属的な資格)」の取得費用も、原則として経費にはならず「個人の支出」とみなされます 。

個人事業主が雇っている従業員の資格取得費用は?

法人と同様に、職務に直接必要であり、全従業員が対象となる(特定の従業員への優遇はNG)場合は広く経費としてみとめられます。

 ※適切だとみなされない場合は給与課税されるので注意してください。

資格取得費用の勘定科目は?

一般的には「研修費」や「採用研修費」などですが、勘定科目は自分が分かればなんでもOK。

ただし、勘定科目は「一度決めたら、毎年同じ科目で処理し続ける」ことが重要です。 

資格取得費用の仕訳方法は?

資格取得費用のよくある仕訳パターンを2つ紹介します。

受験料や単発の受講料の場合

勘定科目は「研修費(または教育訓練費)」として処理するのが最も一般的です。受験料だけを分けて管理したい場合は「支払手数料」を使っても構いません。

【例】

受験料10,000円を会社の現金や口座から直接支払った場合 の仕訳

横にスクロールできます
借方(費用)金額貸方(資産・負債)金額摘要(内容)
研修費10,000現金(または普通預金)10,000〇〇検定 受験料

※消費税入力時の注意 

課税(消費税が含まれる): 民間資格の受験料、TOEIC、民間の単発セミナー、民間団体が代行している一部の国家資格受験料など。 

非課税(消費税がかからない): 国や地方自治体が直接実施・徴収する国家試験の受験料など。 

一年分の受講料などを前もって支払している場合

一年分の受講料などを前払いした場合の仕訳は、「決算をまたいで月割り計算する(原則)」か、「支払った年に全額を経費にする(特例)」の2つのパターンがあります。 


【原則】決算をまたぐ分は「前払費用」として来期の経費にする

法人なら事業年度末、個人事業主なら年末(12月31日)時点で「まだ受講していない残りの期間分」が費用から除外されているか、確認する必要があります。

【例】

10月1日に、1年分のオンラインスクール受講料(120,000円)を現金で支払い、12月末が決算(または個人事業主)の場合

① 支払いをした時点では一旦全額前払費用にする※10月1日時点

横にスクロールできます
借方(費用)金額貸方(資産・負債)金額摘要(内容)
前払費用120,000現金120,0001年分のスクール受講料

 

②1か月分の受講料だけ月末に費用とする※10月31日時点

横にスクロールできます
借方(費用)金額貸方(資産・負債)金額摘要(内容)
研修費10,000前払費用10,00010月分の受講料

③決算や確定申告の時点で未経過の受講料が前払費用になっているか確認する。

未経過とは、ここでは「まだ受講が終わっていない期間の受講料のこと」です。

本例では12月末が決算(確定申告)としているため、未経過の受講料は4か月目以降の9か月分=90,000円のため、この金額が「前払費用」として貸借対照表に載っているか確認します。

前払いしているが、特例を使う場合

「支払った日から1年以内にサービス提供が完了する継続的なもの」であれば、月割り計算をせず、支払った日の属する年の経費として全額を一括で落とすことが認められています(短期前払費用の特例)。

特例の詳細についてはこちらの国税庁のページをご覧ください。https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5380.htm

【例】

支払った日(決算時の処理は不要)

横にスクロールできます
借方(費用)金額貸方(資産・負債)金額摘要(内容)
研修費120,000現金120,0001年分のスクール受講料(特例適用)

注意点: この特例を使う場合、「毎年継続して同じ処理をする(今年は特例、来年は原則などとコロコロ変えない)」ことが条件です。 

まとめ

前提として資格取得を経費にする場合は「今の事業・売上に直接必要」であることが必須です。

将来の独立用や趣味は経費にならないことを押さえておきましょう。

領収書を必ず保管し、税務調査時に「なぜこの資格が今の業務に必要なのか」を説明できるようにしておくことが重要です。 

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佐藤 修一

税理士法人Accompany 代表

(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。