食事補助7500円のメリットとは?2026年法改正での節税効果を解説

こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。
物価高の今、食事補助は「あると助かる福利厚生」になっています。
最近は、コンビニのおにぎり1個が200円に迫る価格帯も珍しくありません。
昼食をコンビニでそろえるだけでも、以前より負担を感じやすい時代になっています。
こうした物価高の中では、食事補助は「あればうれしい制度」ではなく、毎日の生活を支える福利厚生としての意味合いが強くなっています。
しかも2026年4月1日以後は、一定の要件を満たす食事の現物支給について、会社負担月7,500円まで給与として課税されない取扱いになりました。
国税庁は、非課税になる条件として、従業員が食事価額の半分以上を負担していることと、会社負担額が月7,500円以下であることを示しています。
逆に、食事代を現金で渡す場合は、原則として給与課税されてしまいます。
給与課税される場合、所得税、住民税が控除されるため、手取り額が減少してしまいますが、この食事補助を月7,500円の枠内で行うことで所得税、住民税が控除されることなく、従業員に食事補助を提供できるようなるのです。
目次
月7,500円の食事補助は、1日あたりで見るとどうなるか
月7,500円の会社負担を、月20営業日で単純に割ると、1日あたり375円です。
さらに、非課税の条件として従業員が食事価額の半分以上を負担する設計にするなら、従業員も同額の375円を負担する形にできます。
すると、1日あたりの食事価額は750円まで設計しやすくなります。
これは、月7,500円の会社負担上限と「半額以上を本人負担」という国税庁のルールを、20営業日で割り戻した考え方です。
1食750円あれば、今の物価でも昼食としてはかなり現実的です。
おにぎり1個が200円に迫る時代でも、750円あれば、おにぎり2個に汁物やサラダを足すこともできますし、会社でご飯を用意するなら、おかずや惣菜を組み合わせてしっかり昼食として成り立つ水準です。
食事補助の価値は、節約だけではない
食事補助のメリットは、単に昼食代が浮くことだけではありません。
毎日の食事を会社が一部でも支えてくれると、自炊の手間や時間を減らせるという大きな価値があります。
朝にお弁当を作る時間、帰宅後に食材を買い足す手間、冷蔵庫の中身を気にしながら献立を考える負担。
こうした小さな手間は、毎日積み重なると意外に重くなります。
食事補助があると、そうした負担を減らしながら、日中の食事を確保しやすくなります。
つまり食事補助は、食費を助ける制度であると同時に、時間と手間を買い戻す制度でもあります。
従業員にとって本当に大きいのは、「給与でもらうより有利」なこと
食事補助の価値は、年9万円分の支援を受けられることだけではありません。
同じ9万円を現金給与でもらうと、所得税と住民税で目減りします。
一方、要件を満たした食事補助なら、その分は給与課税されません。
つまり、同じ会社負担でも、現金でもらうより従業員の手元に価値が残りやすいということです。
ここでは、月7,500円・年90,000円の食事補助を前提に、社会保険は含めず、税金のみで見た簡易試算をまとめます。
なお、下表は説明をわかりやすくするためのモデル試算です。
年収別に見る、食事補助のメリット
| 年収の目安 | 年間食事補助額 | 給与支給より有利な税メリット | 現金給与相当額 |
|---|---|---|---|
| 250万〜350万円 | 90,000円 | 9,450円 | 100,559円 |
| 400万〜450万円 | 90,000円 | 10,800円 | 102,273円 |
| 500万〜650万円 | 90,000円 | 14,400円 | 107,143円 |
| 700万〜850万円 | 90,000円 | 24,300円 | 123,288円 |
| 900万〜1,000万円 | 90,000円 | 27,000円 | 128,571円 |
この表で見てほしいのは、年9万円の食事補助は、単なる9万円の支援ではないという点です。
たとえば年収500万〜650万円帯なら、給与で同額を受け取るより14,400円分有利です。
年収700万〜850万円帯なら、その差は24,300円まで広がります。
つまり、月7,500円の食事補助は、年収帯によっては10万円超から12万円超の現金給与に近い価値を持つことになります。
従業員から見ると、これはかなりわかりやすいメリットです。
社会保険は税務と別ルールなので、設計時は注意が必要
ここまで、食事補助のメリットを税金面から見てきました。
一方で、社会保険は税務と別ルールで判断されるため、制度設計の際にはこの点も確認が必要です。
食事の提供であれば、一定の自己負担がない場合、社会保険上は現物給与として取り扱われることがあります。
もっとも、現物給与として換算されても金額自体は大きくなりにくいため、実務上は社会保険の等級に大きな影響が出ないケースも多いと考えられます。
とはいえ、設計次第では社会保険の対象になるため、事前の確認は大切です。
たとえば福岡県では、令和8年度の昼食の現物給与価額は290円とされています。
社会保険上は、概ね次のように整理できます。
① 実際の食事価額が、現物給与価額290円以上の場合
従業員負担額が290円の3分の2以上であれば、社会保険上は現物給与なしとして扱われます。
それより少ない場合は、現物給与価額から従業員負担額を差し引いた額が、社会保険上の現物給与として扱われます。
② 実際の食事価額が、現物給与価額290円未満の場合
この場合は、実際の食事価額 − 従業員負担額が、社会保険上の現物給与として扱われます。
また、食事チケットや食事補助サービスについては、税務上、従業員が食事価額の半分以上を負担し、会社負担額が月7,500円以下であれば、給与課税されません。
ただし、社会保険はこれとは別判定です。
たとえば、1回当たりの本人負担額が現物給与価額の3分の2未満になるような場合は、社会保険上の現物給与として扱われる可能性があります。
したがって、制度導入時は、税務だけでなく社会保険も含めて個別に確認するのが安全です
毎日375円の補助は、小さく見えて実は大きい
「1日375円」と聞くと、小さく見えるかもしれません。
でも、今の物価で考えると、この375円は軽くありません。
おにぎり1個が200円に迫るなら、375円はおにぎり約2個分に近い水準です。
さらに、本人負担と組み合わせて1食750円の設計にできれば、昼食として十分現実的です。
だからこそ、食事補助は「豪華な福利厚生」ではなく、日々の負担を確実に軽くする福利厚生だといえます。
食事補助は、従業員満足につながりやすい
福利厚生にはいろいろありますが、従業員が実感しやすいものと、そうでないものがあります。
その点、食事補助はとてもわかりやすい制度です。
毎月7,500円。
年間9万円。
1日あたり会社負担375円。
設計次第では1食750円の食事ベース。
数字にすると、メリットが非常に伝わりやすい。
しかも、使う場面が「毎日の昼食」なので、実感が強い。
節約効果だけでなく、自炊や買い出しの負担を減らせることまで含めると、従業員にとっての満足度はかなり高い制度になりやすいです。
まとめ
おにぎり1個200円に迫る時代、食事補助は単なるランチ補助ではありません。
日々の食費を支え、時間と手間も減らし、しかも給与でもらうより有利になりやすい福利厚生です。
2026年4月以後は、一定の要件を満たせば、会社負担月7,500円まで非課税で運用できます。20営業日で見れば会社負担は1日375円、本人負担も組み合わせれば1食750円の設計も可能です。これは今の物価でも、昼食として十分現実的な水準です。
そして従業員にとっては、年9万円の支援に加えて、年収によっては9,450円〜27,000円の税メリットも期待できます。
食事補助は、毎日使えて、実感しやすく、手元に価値が残りやすい福利厚生。
だからこそ、今あらためて見直す価値があります。
佐藤 修一
税理士法人Accompany 代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。