無料で預金・クレカ明細をデータ化|生成AI「Gemini」で記帳業務を劇的に効率化する方法

「AIって、結局何に使えるの?」
その答えの一つが、毎月の「あの面倒な通帳入力」の自動化です。

佐藤修一

こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。

経理担当者や経営者の本来の仕事は、数字を見て未来を考えること。決して、通帳の数字を一行ずつ転記することではないはずです。

OCR(文字認識)がうまくいかない、連携が切れている、PDFしかない……。こうした「入力の壁」にぶつかるたびに、貴重な時間は奪われていきます。

毎月の経理作業において、領収書の入力と同じくらい、あるいはそれ以上に手間がかかるのが「預金通帳やクレジットカード明細の入力作業」ではないでしょうか。

実は今、GoogleのAI「Gemini」が、あなたの代わりにその入力を引き受けてくれる時代になっています。

今回は、私が日々活用している「通帳入力専用のAIプロンプト」を無料で皆さんに公開します。
「AIを味方につけると、仕事がこんなにラクになるんだ!」という驚きを、ぜひ体験してください。

数ある生成AIの中で、なぜ通帳入力にはGeminiが最適解なのか。
そして、60分の手作業を「数分の確認作業」へと劇的に短縮する仕組みについて、ここから詳しく解説します。

3分ほどで読める内容ですが、手にするリターンは今後の業務時間すべてです。ぜひ最後までお付き合いください。

なぜ通帳・明細入力に「Gemini」なのか?

「PDFをExcelに変換するソフト」は以前からありましたが、文字化けや列のズレが頻発し、修正に余計な時間がかかることが多々ありました。

しかし、GoogleのAI「Gemini」には、これまでのツールとは一線を画す特長があります。

  • 表組みの構造理解力が高い:Geminiは画像を単なる文字の羅列としてではなく、「ここは日付の列」「ここは出金額の列」といった表の構造(レイアウト)を理解して読み取ります。そのため、列ズレが起きにくく、正確にデータを整理できます。
  • 摘要から勘定科目を「推測」する:従来の変換ソフトは「文字をデータにするだけ」でした。しかしGeminiは、「NTTファイナンス」なら「通信費」、「ENEOS」なら「車両費」といったように、取引内容から勘定科目を推測して付与してくれます。
  • 低コストかつ即導入可能:専用の通帳読取スキャナや高価なソフトは不要です。Googleアカウントさえあれば、今すぐ無料で始められます

ネットバンキング連携ができない環境や、過去の紙の通帳を遡って処理しなければならない場面で、Geminiは最強の「入力アシスタント」となります。

実践!Geminiで領収書入力を自動化する4ステップ

手順① 通帳・明細の画像データを用意する

まずは、データ化したい通帳や明細を用意します。 紙の通帳であれば、スキャナでスキャンするか、スマホで真上から撮影して画像データ(JPG/PNG/PDF)にします。 すでにPDFで明細がある場合はそのままでOKです。

ポイント なるべく「表の罫線」が歪まないように真っ直ぐ撮影・スキャンするのがコツです。また、個人口座などで「プライベートな出金」が含まれる場合でも、まずはそのままデータ化し、後で会計ソフト上で除外する方が効率的です。

手順② Geminiに指示(プロンプト)をする

GoogleのGemini(https://gemini.google.com/ )を開き、入力欄にある「チャットを新規作成」を押して、先ほどの領収書画像をアップロードと、AIへの指示(プロンプト)を書きます。

ここでの指示出し(プロンプト)が最も重要です。 通帳やクレカ明細は、「入金」と「出金」の列が分かれていることが多いため、それを一つの「金額」列にまとめたり、貸借を判断させたりする必要があります。

事業者様によっては「ウチでは飲食代は交際費ではなく『会議費』にしている」、「Amazonでの購入は『消耗品』ではなく『仕入』」といった独自の経理ルールがあるかと思います。

その場合は、下記のプロンプトに「飲食代はすべて会議費にして」「〇〇店への支払いは仕入高にして」といった個別の指示を書き加えることで、より自社の実情に合った「精度の高い」の仕訳データを作成してもらうことができます。

【指示文の一例(プロンプト)*右上のコピーからぜひご利用ください

Copy Box
添付の通帳(または明細)画像を解析し、以下の要件に従って会計データを作成してください。 出力はコードブロックを使用したCSV形式(カンマ区切り、ヘッダーあり)のみとしてください。 【処理要件】 1. 画像内の表データから「取引日」「支払先・摘要」「入金額」「出金額」を正確に読み取ること。 2. 「支払先・摘要」の内容から、適切な「相手勘定科目」を推測すること。(例:電気代→水道光熱費、振込手数料→支払手数料) 3. 金額列は1列に統合せず、「借方金額」「貸方金額」として分けること。 ※通帳の場合:出金は借方金額へ、入金は貸方金額へ記載(普通預金等の科目は不要) ※クレカ明細の場合:支払金額は借方金額へ記載 【出力項目】 ・取引日(yyyy/mm/dd) ・借方勘定科目(推測した科目) ・借方金額 ・摘要(支払先名などを記載) ・貸方金額 ・貸方勘定科目(通帳なら「普通預金」、クレカなら「未払金」で統一) 【個別ルール】 ・「〇〇スーパー」への支払いは「会議費」としてください。 ・「〇〇生命」への支払いは「保険料」としてください。

手順③ インポート用データを抽出してもらう

指示を送ると、AIが画像の表組みを解析し、指定したフォーマットのCSVデータを出力します。

日付の形式(令和〇年→202X年)の変換や、摘要に応じた科目の推測も、この段階で自動的に行われます。

出力されたCSVデータをコピーし、Excelやメモ帳に貼り付けて「meisai.csv」などの名前で保存します。

手順④ 会計ソフトにインポートして完了

弥生会計、マネーフォワード、freee等のご利用中の会計ソフトの「明細アップロード」や「仕訳インポート」機能を使用し、作成したCSVファイルを読み込みます。

これで、通帳1ページ分(数十行)の入力が完了です。

手入力で一行ずつ打ち込むのに比べて、圧倒的な時間短縮になります。

ちなみに「AI×経理のポテンシャルは、これだけではありません。」

通帳入力と並んでご相談が多い「現金領収書のデータ化」についても、Geminiを活用したとっておきの裏ワザがあります。

転記ミスや入力漏れを防ぎ、経理時間をさらに削るための実践テクニックは、こちらの記事からどうぞ。

プロの視点からの注意点とアドバイス

通帳・明細のAIデータ化は強力ですが、以下の点に注意することで、より安全かつ正確に運用できます。

  • 「残高」のチェックは必須: AIによる読み取りミス(数字の誤読)がないかを確認する一番の方法は、「期首残高 + 入金合計 - 出金合計 = 期末残高」が合っているかを確認することです。会計ソフトに取り込んだ後、実際の通帳残高と一致しているかを必ず照合してください。
  • セキュリティへの配慮: 通帳には取引先名や口座情報が含まれます。無料版の生成AIを利用する場合、学習データとして利用される可能性があります。機密性が高いデータの場合は、AI学習設定をオフにするか、有料版(Google Workspace版)の利用を強く推奨します。

「明細入力」という単純作業をAIに任せることで、業務効率化につながり、より付加価値の高い業務に時間を割くことができます。

まずは身近な明細数枚から、Geminiの精度を試してみてください。その効率性を実感いただけるはずです。

一方で、「AIの導入方法が不安」「自社の会計ソフトに合わせた具体的な設定をしてほしい」「セキュリティ面を考慮した業務フローを構築したい」といったご要望もあるかと存じます。

当事務所では、単なる記帳代行だけでなく、こうした最新ツールを活用した「経理業務の効率化・DX支援」も積極的に行っております。

「AIを活用して経理の手間を減らしたい」とお考えの経営者様は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。貴社に最適なフローをご提案いたします。

佐藤 修一

税理士法人Accompany 代表

(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。