
こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。
個人事業主のケースで、プライベートで購入した車両を、開業後に事業用として使用している場合、所得税の計算上は減価償却できるでしょうか?
こちらについて解説していきます。
減価償却について
そもそも「減価償却資産」とは?
減価償却とは、事業のために使用しているもののうち、「時間が経つにつれて価値が下がっていく資産」のことです。
- 対象となるもの:建物、附属設備、機械装置、器具備品、車両など
- 対象とならないもの:土地、骨董品など(時間が経っても価値が減らないため)
経費にする際のルール
高額な資産を購入したとしても、購入した年に全額を一度に経費にすることはできません。
その資産が使えると定められた期間(=法定耐用年数※財務省が決定している年数)にわたり、毎年分割して経費にしていきます。
「減価償却」とは?
資産の購入代金を、耐用年数や一定の計算方法に従って、数年間にわけてコツコツと必要経費に計上していくことです。
「長く使う高い買い物は、一気に経費にせず、使える期間に合わせて何年かかけて小出しに経費にしていこう」という仕組みです。
資産をプライベートで購入していた場合の経理処理
私用(プライベート)から事業用に変えた車両の減価償却の手順

このような場合の経理処理はどうなるでしょうか?
ここでは3つのステップに分けて解説していきます。
- 業務スタート時の「車両の価値」を計算する
- 業務用になってからの「毎年の経費」を計算する
- 期末時点の「未償却残高」を計算する
本例における前提
2022年7月に、新車を300万円で購入した。
2025年1月に、開業(個人事業)した。
2025年7月に、これまではプライベートで使用していた車を事業用として使用することとした。
新車の普通車の耐用年数:6年
償却方法:定額法
ステップ① 業務スタート時の「車両の価値」を計算する

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2108.htm
1.プライベートで使用していた期間の「目減りした価値(減価の額)」を計算する
減価の額 = 取得価額 × 資産の耐用年数の1.5倍に相当する年数(※1)で旧定額法(※2)で計算した減価の額 × プライベートで使用していた期間(※3)
※1 1.5倍の年数で1年未満の端数がある場合、1年未満の端数は切り捨て
※2 旧定額法の償却額=取得価額×90%×旧定額法の償却率
※3 プライベートで使用していた期間で1年未満の端数がある場合、6ヶ月以上の端数は1年とし、6ヶ月に満たない端数は切り捨て
計算式としては、下記のようになります。
減価の額 = 3,000,000 × 0.9 × 0.111(※4) × 3年 = 899,100
※4 耐用年数6年の1.5倍の年数 9年の償却率
2.「買った時の金額(取得価額)」から、その目減りした分を差し引く
3,000,000 – 899,100 = 2,100,900
この 2,100,900円(未償却残高)を、業務用にした時点のスタート金額とします。
ステップ② 業務用になってからの「毎年の経費」を計算する
3,000,000 × 0.167(※5) × 6 ÷ 12(※6) = 250,500
※5 0.167…耐用年数6年の定額法の償却率
※6 6 ÷ 12…7月に事業用としたため、7月から12月までの6ヶ月分の按分
ステップ③ 期末時点の「未償却残高」を計算する
2,100,900 – 250,500 = 1,850,400
2025年末の会計上の車の帳簿価格が 1,850,400円(期末未償却残高)となります
まとめ

プライベートで購入した車も、個人事業開業後に事業用として使い始めればしっかり減価償却(経費化)できますよ!
プライベートで使用していた車両を事業用にする際のポイントは、以下の3ステップです。
3つのステップ
- まず「今までプライベートで使った分の目減り(減価の額)」を引き算し、事業用スタート時の価値を計算する
- スタート時の価値をもとに、今年の事業で使う分の減価償却費(経費)を月割りで計算する
- 年末時点の車の帳簿価格(未償却残高)を確定させる
「昔買った車だから経費にできないかも…」とあきらめず、正しい手順で計算して適切に節税につなげていきましょう!
購入時の領収書や車検証が見当たらない場合や、事業とプライベートで併用している(家事按分が必要な)場合などは、お気軽にご相談ください。
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佐藤 修一
税理士法人Accompany 代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。







