
こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。
個人事業主に特定の報酬を支払う際、所得税を源泉徴収して納付しなければいけないと聞かれたことはないでしょうか?
今回はどのような報酬を支払うときに
- 所得税の源泉徴収が必要なのか
- 必要な場合はどのように所得税を計算すべきか
- 納付期限や納付方法
- 納付が漏れていた場合のペナルティの内容や対象者
について解説します。
源泉徴収義務者とは
企業や事業主は、特定の報酬を個人に支払う際、報酬からあらかじめ所得税を差し引き、本人の代わりに国に納める義務があります。
所得税の源泉徴収及び納付が必要な報酬を支払ったにも関わらず納付が漏れていた場合、義務違反となるのは報酬を受け取る側ではなく支払う側の企業や事業主となります。
つまり、報酬を「支払う側」である企業や事業主が「源泉徴収義務者」ということになります。
源泉徴収の対象となる報酬とは
個人に支払う報酬はすべて所得税を源泉徴収をしなければいけないというわけではありません。
所得税を計算する必要がある報酬は主に下記の8つです。
所得税源泉徴収対象の報酬
- 原稿料や講演料など
- 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
- 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
- ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
- プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
- 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
※法人の場合であっても、馬主の法人に支払う競馬の賞金は源泉徴収の対象となります。
上記の報酬以外は所得税の源泉徴収は必要ありません。
源泉徴収の具体的な計算方法
所得税の計算方法は報酬の内容や金額によって変わります。
詳しくは国税庁が出している表をご参照ください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2022/pdf/07.pdf
ここでは一例として、個人に講演の謝金を支払う場合の計算方法を説明します。
謝金が税抜100,000円(税込110,000円)の場合、
110,000×10,21%=11,231円を源泉所得税として徴収することとなり、
取引先への謝金の支払額は110,000-11,231=98,769円となります。
計算例
税抜金額 100,000円
消費税 10,000円
小計 110,000円
源泉徴収税 11,231円
支払い金額 98,769円
ただし、同一人物に対して1回に支払われる金額が100万円を超える場合には、その超える部分については、 20.42%の税率が適用されますのでご注意ください。
また 上記例のように、基本的には税込金額をもとに計算しますが、請求書に報酬・料金の本体金額と消費税の額が明確に区分されている場合には、税抜金額をもとに計算しても構いません。
所得税の源泉徴収が必要な報酬を支払う際には、受け取った請求書を見て所得税が正しく計算されているか確認することをおすすめします。
源泉徴収した所得税の納付期限と納付方法
源泉徴収した所得税は、原則として報酬を支払った月の翌月10日までに税務署へ納付しなければなりません。
(一定の条件を満たす場合には、年2回にまとめて納付することも認められています。)
またその際、「所得税徴収高計算書」を提出する必要があります。
納付する税額がない場合であっても、税額が0円の所得税徴収高計算書を提出します。
源泉徴収した所得税は、税務署や金融機関の窓口での納付のほか、ダイレクト納付、ネットバンキング納付、クレジットカード納付などオンライン上での納付も可能です。
納め忘れは源泉徴収義務者の責任?
先述の通り、所得税の源泉徴収及び納付が必要な報酬を支払った場合、報酬を支払う側である企業や事業主が源泉徴収義務者となります。
そのため所得税の納め忘れがあった場合、報酬を支払う側の企業や事業主が、ペナルティとして「不納付加算税」や「延滞税」いう税金を追加で払わなければいけなくなる可能性があります。
特に不納付加算税は、税務署から指摘があった場合は納付が漏れていた源泉所得税の10%を、税務署から指摘を受ける前に自ら納付した場合でも5%を追加で納めることとなり、源泉徴収額によっては高額なペナルティを支払うことになりかねません。
まとめ
所得税の源泉徴収及び納付が必要な報酬を支払った場合、報酬を支払う側の企業や事業主が正しく源泉徴収し、納めなければいけません。
個人に報酬を支払う際には、その報酬が所得税の源泉徴収の対象になるのか、対象になる場合は正確に計算されているか確認し、漏れなく所得税徴収高計算書の提出と納付を行うようにしてください。
佐藤 修一
税理士法人Accompany 代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。







