法人が青色申告するメリットとは?デメリットや取り消しリスクも解説

佐藤修一

こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。

法人を設立したばかりの経営者の方から、「法人は青色申告を選んだ方がいいと聞くけれど、具体的にどんなメリットがあるの?」というご相談をよくいただきます。

結論からお伝えすると、法人にとって青色申告は節税面で非常に大きなメリットがあります。とくに事業が軌道に乗るまでの間や、設備投資を行う際には欠かせない制度です。

この記事では、法人が青色申告を行うメリットから、知っておくべきデメリット、取り消しリスク、そして申請手続きまでを分かりやすく解説します。

法人の青色申告とは?

白色申告との違い 青色申告とは、一定のルール(複式簿記)に従って日々の取引を正確に帳簿に記録し、それに基づいて申告をすることで、税制上の様々な優遇措置を受けられる制度です。

法人税の申告方法には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、主な違いは以下の通りです。

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項目青色申告白色申告
記帳方法複式簿記(厳密な記帳)単式簿記(比較的簡易な記帳)
事前の承認申請必要不要
税制上のメリットあり(多数)なし

白色申告は事前の手続きが不要ですが、税制上のメリットは受けられません。法人の場合、事業を成長させていく上で節税効果の高い青色申告を選ぶのが一般的です。

法人が青色申告をする5つのメリット

 法人が青色申告を選択することで得られる代表的なメリットを5つ紹介します。

欠損金(赤字)を最大10年間繰り越せる

青色申告の最大のメリットと言えるのが、赤字(欠損金)の繰越控除です。

事業年度で赤字が出た場合、その赤字を翌期以降に繰り越し、将来発生した黒字(所得)と相殺することができます。

繰り越せる期間は最大10年間です。

これにより、赤字の翌年に黒字が出た場合でも、法人税の負担を大幅に軽減できます。

設立直後で初期投資がかさみ赤字になりやすい時期には、非常に心強い制度です。

欠損金の繰戻しによる法人税の還付を受けられる

赤字を翌期に繰り越すのではなく、前期の黒字と相殺して、すでに納めた法人税の還付を受けることができる制度です。

たとえば、前期は黒字で法人税を納付したものの、当期は赤字になってしまった場合、前期の黒字分から当期の赤字分を差し引き、計算し直すことで税金が戻ってきます。

予期せぬ赤字で資金繰りが厳しくなった際に役立つメリットです。

40万円未満の少額減価償却資産を全額経費にできる

 通常、パソコンや備品など10万円以上の資産を購入した場合、購入した年に全額を経費(損金)にすることはできず、数年に分けて経費処理(減価償却)しなければなりません。

しかし、青色申告を行っている中小企業者等(常時使用する従業員数が400人以下の法人など)であれば特例が適用されます。

2029年(令和11年)3月31日までの間に取得した資産について、1つあたり40万円未満であれば、年間合計300万円まで全額をその年の経費として計上できます。

少額な設備投資による節税効果をすぐに得られるのが魅力です。

推計課税が行われない

税務調査が入った際、白色申告の場合は、同業他社のデータなどを用いて推測で税額を計算される「推計課税」が行われる可能性があります。

一方、青色申告では、原則として帳簿書類の調査に基づかなければ更正(税金のやり直し)ができないと定められているため、不当な推計課税を受ける心配がありません。

特定の設備投資による特別償却・税額控除が受けられる

一定の要件を満たす中小企業等が、機械装置やソフトウェアなどの特定の設備投資を行った場合、通常の減価償却に加えて経費を上乗せできる「特別償却」や、法人税額から直接差し引ける「税額控除」のいずれかを選択して受けることができます。

事業拡大のための投資を国が税制面でバックアップしてくれる制度です。

法人が青色申告をするデメリット・注意点

メリットの多い青色申告ですが、適正な申告を行うための義務も生じます。

厳密な帳簿づけ

(複式簿記)が必要になる 青色申告の要件として、「正規の簿記の原則」に従った記帳(複式簿記)が求められます。

白色申告の簡易な記帳と比べると、仕訳の知識が必要になり、日々の経理作業の手間が増える点がデメリットです。

ただし、近年は便利な会計ソフトが普及しているため、以前ほど高いハードルではなくなっています。

帳簿書類の保存義務がある

青色申告法人は、作成した帳簿や、取引に関する書類(領収書、請求書、契約書など)を原則として7年間(欠損金の繰越控除を受ける場合は10年間)保存する義務があります。

書類の紛失に注意し、適切に保管・管理する体制を整えておく必要があります。

法人が青色申告を取り消された場合のリスク

青色申告は一度承認されても、ルールを守らなければ取り消されてしまう可能性があります。

青色申告の承認が取り消される主なケース

  • 帳簿書類の提示を拒否した
  • 2期連続して期限内に申告書を提出しなかった
  • 帳簿書類に虚偽の記載がある、または隠ぺい・仮装の事実がある
  • 帳簿書類を一定期間保存していなかった

特に「2期連続の期限後申告」は、うっかりミスでも取り消しの対象となるため注意が必要です。

取り消しによる具体的な不利益

 承認が取り消されると、原則として取り消しの通知を受けた事業年度から「白色申告」として扱われます。

つまり、「赤字の10年間繰越」や「少額減価償却資産の特例」といった青色申告の強力なメリットがすべて受けられなくなってしまいます。

税負担が急激に増える恐れがあるため、ルールを守った適正な申告が不可欠です。

法人の青色申告申請に必要な手続きと期限

青色申告を始めるには、所轄の税務署へ事前の申請が必要です。

「青色申告の承認申請書」の提出

青色申告の承認を受けるためには、「青色申告の承認申請書」を作成し、納税地を所轄する税務署長へ提出します。

申請書は国税庁のホームページからダウンロードできるほか、e-Tax(電子申告)での提出も可能です。

提出期限に注意(設立第1期目の場合)

申請書には提出期限が厳格に定められています。 新しく法人を設立した場合の提出期限は、「設立の日以後3ヶ月を経過した日」と「設立第1期の事業年度終了の日」のいずれか早い方の前日までです。

期限を1日でも過ぎると、その事業年度は青色申告ができなくなってしまうため、法人設立届出書などの他の書類と一緒に、早めに提出することをおすすめします。

まとめ

法人はメリットの多い青色申告での申告がおすすめ 法人が青色申告を行うメリットについて解説しました。

複式簿記での記帳や帳簿の保存義務はあるものの、赤字の繰越しや設備投資の優遇など、法人の経営を安定・成長させるためのメリットが非常に大きいため、基本的には青色申告を選択することをおすすめします。

とはいえ、「ひとり法人で経理に割く時間がない」「複式簿記の記帳や、期限内の正確な申告に不安がある」という経営者の方もいらっしゃるかと思います。

税理士法人Accompanyでは、新設法人様の記帳代行から青色申告の申請手続き、日々の税務相談までしっかりサポートしております。

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佐藤 修一

税理士法人Accompany 代表

(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。